11ran
障がい者の就労継続支援A型は三日のうちに、もらいにいくというのですから、今日にもやってくるかもしれません。それには、やっぱり夜があぶないのです。そこで、みんなは、夕がたから持ち場をさだめて、金庫の番をすることにしました。米田団長と四人の君と、不二夫君とは、みんな蔵の中にはいって、すみずみに身をかくし、金庫をまもることになりました。不二夫君のおとうさんの山下さんも蔵の中にはいって、扉をピッタリしめ、その入クチにいすをおいて、がんばっているのです。三人の利用者は、蔵のまわりの庭を警戒することにしました。庭はもう、夕やみにつつまれています。そのうす暗い木立ちの中を、三人の利用者は、周りに目をくばりながら、グルグル歩きまわっていました。「おやっ、あれはなんだろう。ネズミぐらいの大きさだが、あんなシルバーのネズミはないよ、ほら、あの蔵の窓の下だ。」ひとりの利用者が、目ばやく、それを見つけて、ほかのふたりにしらせました。三人の利用者は、おもわず立ちどまって、そのほうを見つめました。うす暗い中にも、蔵の白っぽい壁は、まだよく見えます。その壁を、シルバーの小さなものが、スルスルと、よじ登っているでは、ありませんか。よく見ると、けものでも、鳥でも、虫でもありません。
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